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重金属の排出を促して病気予防を

現代では体内に取り込まれる毒素が多すぎるため、排出しきれずに体内に蓄積されていく傾向にあるといわれています。重金属もその毒素のひとつ。原因不明の症状や慢性疾患をお持ちの方は重金属が原因のことも。体内に蓄積される可能性のある重金属とその影響について知り、きちんと排出されるように注意してみることも病気を予防する一歩となります。


身体に必要なミネラル


「重金属」といってもすべてが身体にとって有害というわけではありません。心や身体の機能を正常に保つために必須とされるミネラルがあります。その内、一日の推奨摂取量が100mg以上のものを主要ミネラル、100mg未満のものを微量ミネラル(トレースミネラル)と呼び、その他の微量ミネラルの中には今後の研究によっては必須ミネラルとなるものもあるそうです。主要・微量かかわらず健康を保つうえでは重要であり、不足していても過剰であっても心や身体の健康に影響が生じるといわれています。

  • 主要ミネラル7種類 カルシウム(Ca)、塩素(Cl)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、リン(P)、硫黄(S)

    • 微量ミネラル9種類 コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ヨウ素(I)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、セレン(Se)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)

    • その他 ホウ素(B)、フッ素(F)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)、バナジウム(V)


有害なミネラルとその影響


身体にダメージを与える重金属は、水や食べ物、大気中、日用品などに含まれており、飲食(経口)、呼吸(吸入)、接触(経皮)などにより日々体内に取り込まれています。

出典:デトックスに役立つ栄養素 - ナチュメディカ

上記の画像にある5つの物質のほか、銀(Ag)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、ガドリニウム(Gd)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、アンチモン(Sb)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)などが、体内に蓄積すると健康障害を引き起こす重金属とされています。



必須ミネラル・有害ミネラルの測定方法


体内にどれくらいの必須ミネラルや有害ミネラルがあるかを測定する方法があります。オリゴスキャンと呼ばれる光学スキャン測定は、手のひらに4箇所ほど検査機器から出る光を当てるだけ。ルクセンブルグの開発元にデータを送信し、数分で解析されたレポートが届くというものです。


私も7年ほど前に受けたことがありますが、自分の身体の状態を知るのはとても面白かったです。体内の重金属の量が明確な数値で分かるうえ、重金属中毒症の有無、身体の酸性度、酸化ストレス、抗酸化力、酵素の状態、腸の消化能力、代謝能力、免疫機能、認知機能、ホルモン状態、組織修復力、感情の状態、心血管系機能、神経系機能、抗アレルギー能力、糖尿病体質なども知ることができます。言い換えると、有害金属はこれほど多岐にわたって身体の機能に影響を及ぼすということですね。

私の場合はカドミウムとアルミニウムが、許容範囲内でしたが、やや基準値を上回っていました。関係があった可能性のある症状といえば、食欲不振、貧血、だるさ、疲れやすさ、むくみですが、知らずにその後何年かそのままの状態でいたら過剰なレベルまで到達し、病気を発症していたかもしれません。


デトックス力の鍵を握るのはグルタチオン


「デトックスに役立つ栄養素」の画像にあるように、食事やサプリで必要な栄養素を重点的に補えばデトックスを促すことはできます。ですが、予防医学のお医者さんに言われたのが、有害物質を排出できる力はその人の身体の状態によるとのこと。排出できる人と排出できない人、その違いはグルタチオンといわれています。


グルタチオンは、体内のすべての細胞の中にある、抗炎症と解毒の作用を持つ酵素で、体内に炎症が起きるとその炎症を抑えるためにグルタチオンが消費されるため、解毒に回れるグルタチオンの量が減り、体内毒素を効率的に排出できなくなるそうです。すでに身体に毒素が溜まっているために体内に炎症が起きている状態では、グルタチオンが毒素の排出に回れないということになるので、悪循環になってしまいます。私はアレルギーで炎症が続いている状態だったので、それならばとグルタチオン点滴というものを何度か受けました。グルタチオンの詳しいメカニズムについてはこちらの[コラム] 重金属を排出できる人、できない人をご覧ください。


現代人はグルタチオンが不足しがち


グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からできているトリペプタイドです。重金属だけではなく、薬や化学物質などにも結合して体内から排出しやすくするというデトックス効果、強力な抗酸化力によるアンチエイジング効果、放射線障害予防効果があり、赤血球・白血球の形成、および免疫系の正常な機能にも不可欠といわれています。


グルタチオンは体内で生成され、利用された後には自身を含めた他の抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、αリポ酸)の再活性化を促進します。年齢と共に体内で生成されるグルタチオンの量は減っていくため、それと共に身体の解毒機能も落ちていくと考えられます。また、不健康な食生活や重度のストレス、外傷、長期的な感染症、薬物治療、放射線、汚染物質、毒素などによって、体内のグルタチオン値が著しく低下するそうです。常に有害物質にさらされている私たちがデトックス力をキープするのは容易ではないのかもしれません。


エイズ、関節炎、パーキンソン病、2型糖尿病、肝炎、心臓疾患、慢性腎臓疾患といった慢性疾患に苦しむ人々は、グルタチオンが不足していることが研究によって明らかになっています。


グルタチオン量を上げるには?


1.硫黄を多く含む食物を摂る

アスパラガス、アボカド、オクラ、ほうれん草など、グルタチオンを多く含む食物もありますが、消化酵素で分解されてしまうので、体内のグルタチオン生成に必要な硫黄が含まれるアミノ酸「含硫アミノ酸」(シスチンやメチオニン)を多く含む食品を摂取するのが良いそうです。


食品中の硫黄含量について行われた実験では、魚介類・卵類・種実類(ゴマ)・豆類・肉類・藻類に、中でも海苔、タコ、帆立、にんにく、イカに多く含まれること、そしてたんぱく質が多いものに硫黄の成分が多く含まれることがわかったそうです。また、牡蠣や魚介類に多く含まれるタウリン、ユリ科の野菜(ニンニク・ニラ・ネギ・タマネギ・エシャロット・アサツキ・アスパラガス)の硫化アリル、アブラナ科の野菜(ルッコラ・ブロッコリー・チンゲン菜・芽キャベツ・キャベツ・カリフラワー・ケール・大根)のグルコシレート、ブロッコリースプラウトのスルフォラファンも含硫アミノ酸様化合物であり、体内のグルタチオンのレベルを上昇させることが研究でわかっています。野菜の場合は加熱・保存せずに生のまま、あるいは軽く蒸して(ブロッコリーは1-3分)摂ることでグルタチオンを多く生成してくれるといわれています。



2.ビタミンCを摂る


ビタミンCは、フリーラジカル(活性酸素、ストレス、紫外線、放射線、喫煙、排気ガス、化学薬品、食品添加物などによって体内で発生する不安定な分子で、細胞の酸化損傷や炎症を引き起こす)を取り除いてくれるため、グルタチオンが解毒に回りやすいと考えられます。ビタミンCの摂取量を上げると、赤血球・白血球内のグルタチオンレベルが上昇することが研究で明らかになっています。ビタミンCは柑橘類、キウイ、イチゴ、パパイヤ、カリフラワー、ブロッコリー、じゃがいも、パプリカに多く含まれています。


予防医学のクリニックでは、ビタミンCを食事で摂るのが難しい場合はキレートレモン、またはリポスフェリックビタミンCを飲むように勧められました。血液内に十分ビタミンCが行き届くように工夫されたリポソーム状のサプリは毒素排出をより効果的に促してくれるそうです。


3.重金属を吸着して体外へ排出してくれるものを取り入れる


・パクチー

香菜、コリアンダー、シアントロとも呼ばれ、好き嫌いが大きく分かれるパクチーですが、体内の重金属に付着して対外に排出するキレート作用を持つことで欧米でも注目されています。デトックス効果を高めるには、クロレラと一緒に1日3回、3ヶ月集中して摂ると良いそうです。


45日間で、平均して鉛は87%、水銀は91%、アルミニウムは74%、自然に体外へ排出されたという研究結果もあります。(参照:Cilantro can remove most heavy metals from your body in less than 2 months!




シリカ、竹炭、クレイも有害重金属のデトックスに有効といわれていますが、その理由はこれらがマイナスの帯電であり、プラスの帯電である重金属にくっつく性質があるからだそうです。


4.ハーブやスパイスの力を借りる


グルタチオンは主に肝臓において生成され、肝臓内で有害物質と結合し解毒します。

まずはその肝臓機能を正常化するためにハーブやスパイスを取り入れてみましょう。


ミルクシスル(マリアアザミ)

強力な抗酸化物質のシリマリンを含み、肝細胞の細胞膜を保護、毒物の受容を避ける働きをします。有害な活性酸素を無毒化し、肝細胞の損傷を防止するだけでなく、すでに損傷を受けた肝細胞の修復を促す作用もあるそうです。肝臓内のグルタチオン値を上げることがわかっています。

ハーブティーで使うのは種子の部分。小さじ2をすりつぶして5分煮出します。便利なチンキ剤もあります。



ターメリック(秋ウコン)

黄色の色素部分でポリフェノールの一種クルクミンが高濃度に含まれています。ビタミンCのように体内のフリーラジカルを減らしてくれる作用があり、グルタチオンの合成を強化、肝臓の働きをサポートしてくれます。


クルクミンは1日に1-2gの摂取で抗酸化作用を得られ、黒胡椒などに含まれるピペリンと併用することで生体内利用率が高まるといわれています。


そのほか、ダンデライオン(セイヨウタンポポ)、バードック(ゴボウ)、アーティチョークにも、肝・腎・腸機能を強化しながら、体内のグルタチオン量を増やす効果があることがわかっています。



5.サプリでミトコンドリアを活性化


食物から摂取しにくく、年齢とともに体内の生成量が減っていく栄養素はサプリで補充しても良いかもしれません。アルファリポ酸やコエンザイムQ10は、ミトコンドリアを活性化し、グルタチオンをサポートしてくれる効果が期待できます。


アルファリポ酸

ミトコンドリアを活性化し、体内の活性酸素やフリーラジカルの除去を助けます。アルファ・リポ酸が持つ抗酸化力はビタミンCやビタミンEの400倍にもなるといわれ、さらに、他の抗酸化成分であるCoQ10・ビタミンC・ビタミンE・グルタチオンなどを再生利用する効果も持っているそうです。



コエンザイムQ10

ミトコンドリアのエネルギー生産能力を高めるうえ、細胞膜などに含まれる脂質が活性酸素によって酸化するのを防ぐ抗酸化作用があります。


≪参考≫ 2019年に発行された学術記事A Review of Dietary (Phyto)Nutrients for Glutathione Supportに、体内のグルタチオンレベルを高める栄養素と食物、推奨摂取量が書かれてあります。

  1. アルファリポ酸:300mgを1日3回、もしくは1日200-600mg

  2. アブラナ科の野菜:1日250g

  3. クルクミン:1日上限12gとし、1日に1-2gの摂取で抗酸化作用を得られ、黒胡椒などに含まれるピペリンと併用することで生体内利用率が高まる

  4. フルーツ・野菜ジュース:1日300-400ml

  5. グルタチオン(リポソーム状):1日500-1000mg

  6. グルタチオン(経口摂取):1日500-1000mg

  7. グリシン:1日100mg

  8. 緑茶:1日4杯

  9. N-アセチルシステイン:1日600-1200mgを何回かに分ける、1日に6000mgで効果的

  10. オメガ3脂肪酸:1日4000mg

  11. サーモン:週に2回150gづつ

  12. セレン:1日100-200ug、1日上限400ugを超えると毒性あり、セレン強化酵母は247μg

  13. ビタミンC:1日500-2000mg

  14. ビタミンE:1日100-400IU

  15. 乳清タンパク質:1日40g


日常生活で改善できること


日常生活でデトックスを意識する、成分表示を見るなどして、可能なものから毒素となる重金属を避けていってみましょう。

  • 水をたくさん飲んで、尿と一緒に毒素排出。

  • 汗をたくさんかいて、汗と一緒に毒素排出。

  • 睡眠は7.5時間は取るようにし、脳内デトックスを。

  • 大きい魚は食べ過ぎないように。日本人は魚をよく食べるため、水銀の蓄積量が欧米と比べて2倍~6倍。小さい魚の方が水銀も毒素の量も少ないそうです。

  • 人工の消臭スプレーや合成洗剤は避け、重曹や酢(クエン酸)、エッセンシャルオイル(精油)など自然のものを。

  • 除草剤や殺虫剤は使わないように。

  • 塩化アルミニウムや銀イオンが含まれているデオドラントや制汗剤は避けましょう。

  • アルミニウムが含まれている胃薬は飲み過ぎないように。


ヒーリングで重金属の排出も

今回は重金属にフォーカスした解毒についての記事でしたが、デトックス力を左右するグルタチオンは、重金属だけではなく、フリーラジカル、薬、化学物質といった体内に溜まりやすい毒素すべての排出に関わる重要な役割を担っています。今ある不調の改善や病気予防に、デトックスを意識して日常生活に少しずつ変化を加えていってみてください。


そして、長々と説明をしてまいりましたが、ヒーリングセッションでも重金属の排出を承ることができます!


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