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カラーリングマンダラの癒し

カラーリングマンダラ(マンダラ塗り絵)を自分でやってみたところ、短時間で心身のバランスが整う感覚がありました。宇宙の構造を表現した図像といわれ、自然界にも歴史的建造物にも同じような対称形を見ることができます。なぜ、マンダラに調和と癒しの効果があるのか。魅力を探ってみます。

マンダラは聖なる円輪


マンダラという言葉は、古代インドに起源を持ち、サンスクリット語で「円輪」や「聖なる中心」、「本質の器」を意味します。始まりは「広く人々を救済する」思想の大乗仏教の一派、密教。


宇宙の真理を視覚的に表現した聖なる図形とされ、左右対称の円形を基本とし、見る人の目が中心に向かっていくようなデザインになっています。円形の中心は、森羅万象の始まりを表す点とヒンドゥー教では考えられており、他の宗教ではここに、ブッダやイエス、マリアなど聖なるシンボルを置きます。いずれにしても円心から拡大していく宇宙を表していると考えると、マンダラを見ることで、表現されている世界観が直観的に理解できそうですね。


自然界のマンダラ


マンダラは、自然界における対称形を表現しているともいわれています。


果実

雪の結晶

銀河


マンダラは無意識に働きかけて癒しをもたらす


宇宙の構造を表しているといわれるマンダラですが、"As above, so below" (上なる如く、下もまた然り)というように、宇宙の構造=心の構造でもあるのです。人の心は、表層はともあれ、深層では共通しているからこそ、マンダラの図像が普遍的に人の心に響くのではないかともいわれています。これをスイスの精神科医・心理学者カール・グスタフ・ユングは、「集合的無意識」と名付けました。

ユングは、マンダラを描いたり色を塗ったりすることは、自らの中心へと向かう自己探求であり、深い癒しを得られるだけではなく、無意識の自分にアクセスし、インスピレーションを得て自己変容の効果がもたらされるという、本来の自分を見つけるツールであることを発見したのです。


治療の一環としてもマンダラを用い、患者それぞれが抱える問題を克服することができたそうです。現在でも世界各地でセラピーのひとつとして用いられています。



カラーリングマンダラで期待できる効果(例)

  • 無心になれる=瞑想と同じ効果が得られる

  • 自律神経を整えリラックスする

  • 心の中に絡まっているものをほどき、感情をデトックス

  • 内面の陰と陽を統合する

  • 内なる自分とつながり、癒しやインスピレーションを得られる

  • 新しい自分に出会える、自分を受け入れることができる、変容の準備が整う

  • 達成感と爽快感が得られる


あらゆる文化・宗教にみられるマンダラ


キリスト教、シャルトル大聖堂のバラ窓と床

ケルトの文様


アイヌの文様


アメリカ先住民のメディスン・ホイール









カラーリングマンダラ


精巧で儚い砂マンダラ


チベット仏教には、岩石の粉にアクリル絵の具で色付けしたものを使ってカラーリングしていく砂マンダラと呼ばれるものがあります。かつては宝石の粉が使われていたそうです。一週間かけて僧侶たちが砂を落としていく様は実に見事。砂の一粒一粒に祈りが捧げられ、描き終わって儀式や祭礼が行われた後は、諸行無常の教えに沿って壊され川に、そして海に流されます。世界中に祈りが届くように、と。

自分だけのマンダラを作ってみよう


モスクの天井は本当に緻密で、深遠で奥行きが深く、見ているだけでも吸い込まれてしまいそうです。

こんなふうに美しいマンダラがすでに完成されている建築物やアートをじっと眺めているだけでも浄化されそうですが、自己探求といった意味ではやはり自分で実際に描いてみる、色を入れてみるという方が効果が高いでしょう。


複雑なマンダラもありますが、途中で飽きないように、短時間で深い癒しを得られるようなシンプルなマンダラから始めてみることをお勧めします。


Google検索で"free mandalas to color"と入れれば、無数にデザインが出てきます。無料でダウンロードできるので、お好きなものを選んでやってみましょう。

何でもそうですが、楽しくやるのがコツ。そして出来上がったら、3mほど離れたところから見てみましょう。近くで見るときと違って見えます。ユングの理論では、この離れたところから見たときに浮き上がって見えるものが真の自己、魂に近い本来の自分、なんだそうです。


カラーリングマンダラ本も色々あります。世界のマンダラ塗り絵100には『ヒンドゥー教のマンダラ』『仏教のマンダラ』『キリスト教のマンダラ』『ケルトのマンダラ』『アメリカ大陸の先住民のマンダラ』が掲載されていて、それぞれに思いを馳せながら塗るのも面白そうです。


立体的な糸かけマンダラ

色がついた糸を使ってマンダラを作るのも立体的で面白いかもしれません。これ、子どもの頃にやったような記憶があるのですが、シュタイナー教育なんですね。


素数の数ずつ、板に打った釘に糸をかけていくというもので、子どもの算数の教育のために用いられたのが始まりだそうです。素数を使い糸の色を選んでいくので、やっているうちに右脳と左脳のバランスが整うそうです。素数はちょっと・・・という方は、素数を使わない糸かけ花マンダラというのもあるそうですので、日本糸曼荼羅協会のサイトを覗いてみてください。


マンダラを色々眺めていたら、幼い頃によく万華鏡を覗いていたことを思い出しました。綺麗な模様を見て楽しんでいただけではなく、子どもながらに手っ取り早い方法で癒しを得ていたのかもしれません。


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